新潟の友人ショップを昼には出るつもりだったが、梅雨を走るといって出て来たものの、前日世話になった友人の甘い言葉を振り切り、走り出すまでにはチョイとばかりの気持ちと時間がかかる。
雨だろうと悪路だろうとこれだけ走って来たベテランバイカーとしては情けない話だ。いやこの年だからこそそれなりの走りでも良いのではと頭の後ろから囁くヤツもいる。インターネットで何やら調べている友人がにやりと笑っていった。「キンさん、良いアイディアがありますよ。この時間から一気に13号で鳥海山を抜けて横手までは無理でしょう。どうせ一泊するなら船で移動しながらッていうのはどうでしょう」 と。「フェリーか?」と問うと 「23時過ぎに新潟港を出て、朝も5時台に秋田に行く船があります。しかも村上辺りの安宿よりも安い値段です」と気持ちを鷲掴みされたようなプランが目の前にぶる下がった。”それならバースト寸前の前タイアを交換する時間も取れるし….よしそれで行こう”ということになった。ここは新潟といっても上越市、縦長の新潟県ではあるが新潟のフェリー乗り場まででも百数十キロ程度である。時間にも余裕ができたし、色々と思い入れのある雨の新潟を走ろうとゆっくりのスタートだ。
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